とくに大きな都市や観光地では英語が日常に入り込んでいるタイ。小学生から本格的に英語の指導が始まる。
東南アジアを代表する経済大国であり、欧米諸国から注目を集めているタイでは、外貨収入が国の経済の一部となっており、大都市や観光地などでは「英語」が日常生活に溶け込んでいる。そのため公立幼稚園でも、アルファベットや、色などのかんたんな英単語は、タイ文字といっしょに教えている。
タイで本格的な英語教育が始まるのは小学校1年生から。公立の学校では1クラス45分ほどの英語の授業が週に3、4回おこなわれている。英語を担当するのはタイ人の教師で、英語の発音はタイ語なまりが強い。通常は黒板を使って、筆記や文法重視の授業がおこなわれている。
だが、タイの教育省が作成した基本となるカリキュラムがありながら、実際には各自治体、もしくは学校によって英語教育の内容が異なる場合が多い。公立の学校でも幼稚園、小学校から入学する際に試験がある学校を中心に、語学を重視した教育をおこなう「インターナショナルセクション」、または「英語セクション」を設置する特殊な公立学校も首都バンコクを中心に点在している。これらの学校は英語以外の他教科の授業もすべて英語、もしくは80%が英語でおこなわれる。
また子どもたちの語学力の向上に熱心に取り組む自治体の公立学校では、ネイティブ・スピーカーの教師を採用して授業をおこなっている。こうした公立学校では英語の時間数を基本カリキュラムより大幅にふやしている学校も多い。
タイでは個々の学校によって授業内容のプラスアルファが大きく異なる傾向が目立つ。少し前までは第二外国語は英語のみだったようだが、最近、中学校では、中国語や日本語などの英語以外の第二外国語も選択できる公立学校も徐々にふえてきている。
「これからグローバルにビジネスを展開するためには英語が必要」と考える教育熱心な保護者も多く、「英語ブーム」が高まっているタイ。そのため、タイの教育カリキュラムにそって、授業をすべて英語でおこなう私立学校が注目され始めている。それらの学校は、学費は通常のインターナショナルスクールよりもはるかにリーズナブルでありながら、しかもネイティブ・スピーカー並みに英語が上達するということで、じわじわと人気を集めているようだ。
文・写真/とくたけかなこ コーディネーション/ホリコミュニケーション
●『子ども英語』2010年6月号(アルク発行)連載「世界の小学校英語教育事情」より
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