<コラム>中学・高校留学を考える
海外の中学や高校に進学する学生は着々と増えています。
「国際性を身に付けたい」と考える若い世代や、「外国語教育が必須」と考える親御さんが増えている上に、「不登校や学校嫌いから脱却したい(させたい)」というケースも年々増加の傾向にあります。
留学を思い立った具体的な理由をお聞きすると、そのきっかけはさまざまです。
個性を活かしたい、日本の教育が気に入らない、スポーツに打ち込みたい、などの意見が聞かれるなか、必ず共通していているのが、海外や英語に対して憧れの気持ちを持っているということです。例えば、海外ドラマが好きだ、とか、ヒップホップが好きでニューヨークに行きたい、とか、幼いころ外国人留学生が家に来た、といった話がそうです。
これら、海外に対する大いなる興味というのは、留学を成功させる絶対条件ともいえます。「知りたい」という好奇心は向学心につながるだけでなく、数々の試練が訪れる留学生活では「そもそも海外に興味を持ったのは自分じゃないか」という思いが、壁を乗り越える原動力となるからです。つまり、海外に興味を持ってもいない若者を、親の思いだけで無理やり留学へ駆り立てるようなら、つまづいたときにうまく行かなくなるということ。もし「留学をさせたい」「してもらいたい」という気持ちがあるのなら、まずは海外に興味を持つような環境を整え、語学の楽しみに触れることが先決です。英語の授業が嫌いでも、「ハリウッドスターの○○の大ファン」でも良いのです。その子はきっと、大好きなスターの出演作を食い入るように見たはずです。背景の建物を見て憧れ、英語のセリフを覚えたかもしれません。この気持ちが留学には大切なのです。
さて、ばくぜんとした憧れの気持ちを、「そんな夢のようなこと言って」と相手にしない大人も考え物です。海外の中学・高校は決して甘いものではありませんが、無関心人口が多いといわれるなか、自ら興味を持ったのです。否定よりまず、知ること、話すこと。ぜひ留学も進路のひとつとしてご一考ください。
ご参考までに、先生方や保護者の方々からジュニア留学ネット編集部に寄せられるご質問のうち、代表的なものをご紹介いたします。
(Q1)交換留学では学年を落とさなければならないでしょうか?
このご質問は先生方だけでなく、留学生ご本人からよく寄せられるものです。
海外の高校と提携している高校は、交換留学しても単位の振替が可能な場合が多いようです。また、民間団体での交換留学プランを使って留学した場合も、日本の高校側がOKを出せば単位振替は可能で、学年どおりに進級することができます。あくまでも、日本の高校のスタンス次第ということです。
日本の学校関係者の皆さまにはぜひ、提携校以外であっても海外の高校での単位認定を前向きに検討していただきたく思います。学生は語学力はもちろん、その第2外国語を使って諸外国の歴史を学び、外から日本を見るという貴重な勉強をしています。知らない人に積極的に接し、ホームステイや寮を通じて協調性を磨き、日本カルチャーを海外に輸出するという国際性も身につけました。自立した精神と行動を常に求められ、人間力もアップしているはずです。これらの点を考慮し、ご自身の高校においての単位認定に取り組んでいただけると、学年を落とさねばならない学生が減り、留学への障壁がとれるのです。
(Q2)海外の中学や高校は学費が高いのでしょうか?
日本と同じように、公立中高に行くのと、私立に行くのでは学費が異なります。国によって多少の物価の差もあります。従って一概に高い・安いを論ずることはできませんが、日本にいるときより間違いなく余計にかかる費用は生活費です。年間に出せる費用の計算には、この生活費を学費にプラスしなければなりません。
滞在は主に、ホームステイか寮です。「この学校、学費高いな」と思っても、実は寮費と食事はすべて学費に含まれている場合もあるため、よく計算してみることです。寮滞在や、田舎の学校などを選ぶとほとんどお小遣いを使うこともありませんから、日本で塾や予備校に通うのと変わらないケースがあります。
まずは目安として、最低、どんな留学でも年間300万円程度はご用意いただくことをおすすめします。
(Q3)海外の中学・高校は自由だと聞きます。本当でしょうか?
海外留学に関する誤解があるとすれば、この点です。
「自由」が何を指すかによりますが、海外の中学や高校も規律があり、むしろ日本の多くの学校より厳しいかもしれません。
特に私立の学校、なかでもボーディングスクールと呼ばれる寄宿舎タイプの学校は生活と学業が一体化していますので、エチケット教育は厳格です。ルールを破れば罰則があり、退学や停学を含めた処分も下されます。日本人留学生のなかには、「日本は窮屈だ」と言って海外へ飛び出す人もいますが、その考えはちょっと危険では。なにしろ授業の出席率、テストの結果などは日本よりむしろ厳しいのです。
また、親の目がなくなるという「自由」は大きいようです。
親から期待やしつけを厳しく言われて、日本ではおとなしかった学生が、留学した結果、開放感から遊びがちになった、タバコやドラッグを覚えた、という喜ばしからざる例もあります。
「ティーンエイジには悪いことのひとつやふたつ・・・」という大らかな考えも時には必要でしょう。しかしながら、あまり目立つと学校規則に触れて処罰対象となります。警察に補導されれば、最悪の場合、学生ビザ取り消しで強制帰国なんてことも・・・。
一方、別のいい意味での「自由」は、長所を生かす教育が重視され、自主的な発言が歓迎される点です。日本ではまんべんなく平均以上の成績を求められていたのに対し、留学先のカナダの高校では大好きなアートを追求し、没頭して修練を重ねた結果、アメリカの芸術大学に進学したという学生もいます。高校時代からほとんどの授業が選択制という国もありますから、自分の集中したい科目を思う存分やれるわけです。
「自由」の中には「責任」という意味が含まれている。
この点をしっかり理解した学生なら、海外留学の懐の大きさを生かすことができることでしょう。
(Q4)日本に戻ったときの進路は?
海外の高校を卒業するとき、まず悩むのは「帰国するかどうか」でしょう。
クラスの友達の多くがそのまま現地の大学に進学するのを見て、同様の進路を選ぶ留学生もたくさんいます。大学進学にとらわれず、自身の興味を生かして専門学校へ進学するもよし、短大から4年制大学への編入を志すもよし、きちんと高校を卒業しさえすれば、学生次第の開かれた未来が用意されています。
帰国を選ぶなら、帰国子女枠入試やAO入試を検討してみてもいいでしょう。
大学によって基準が異なるため、志望校から最新の出願条件を取り寄せておくことをおすすめします。
大きな誤解は、「日本の普通受験よりも帰国枠は合格しやすい」という思い込みです。この誤解のためにわざわざ高校留学させてまで有名大学を狙わせる親がいるようですが、おいしい方法だと飛びつくなかれ。高校時代の成績が重視される帰国子女枠入試では、赤点ギリギリというわけにはいきません。論文が入試科目になっている場合も多いので、論述力を鍛えておくことも大切です。
帰国についてひとつ、興味深いお話があります。
「日本の大学生はあまりやる気がないんだね」と語る真由美さんは、オーストラリアの高校を卒業し、「日本の良いところも吸収したい」と言って帰国子女枠入試で日本の大学に進学しました。
「オーストラリアの高校は勉強が大変で、家でもよく勉強してました。テストも多かったし、すごく集中して勉強するぶん、休みは旅行に行ったり、クラブ活動では思いっきり体を動かして本当に毎日忙しかった。日本の大学生はヒマそうにみえる。」
近く、真由美さんはアメリカの大学への交換留学に応募するため、面接に挑むそうです。
このエピソード、真由美さんだけに起きたことなのか、それとも日本の学校を鋭く見通した意見なのか、関心を惹くところではありませんか?
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<文>ジュニア留学ネット編集部